このサイトの各有効成分ページにはFRACコード(殺菌剤)またはIRACコード(殺虫剤)が掲載されています。本コラムでは「このコードを見てどう行動するか」を、具体的な防除プログラム設計の観点から解説します。各成分の作用メカニズムの詳細は有効成分ページをご参照ください。
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■ コードを見て何を判断するか
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FRAC/IRACコードは「この薬はどこで効くのか」を示します。
同じコード = 同じ場所に効く = ローテーションの相手にならない
異なるコード = 異なる場所に効く = ローテーションになる
【実例】
・トップジンM水和剤(FRACコード1)+ ベンレート水和剤(FRACコード1)
→ 成分名は違うが同じコード。「同じ仕組みで効く2剤」を交互に使っても耐性対策にならない
・ダコニール1000(FRACコードM05)+ トリフミン乳剤(FRACコード3)
→ コードが違う。「異なる仕組みで効く2剤」なのでローテーションになる ✓
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■ 殺菌剤のコード別グループ整理
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【Mコードグループ(保護剤・耐性リスク低)】
M01:銅剤(Zボルドー・ボルドー液等)
M02:石灰硫黄合剤
M03:マンゼブ・ジネブ(ジマンダイセン水和剤)
M04:キャプタン(オーソサイド)
M05:クロロタロニル(ダコニール1000)
M07:イミノクタジン系(ベルクート水和剤=アルベシル酸塩、ベフラン液剤=酢酸塩)
→ 多作用点に効くため耐性菌が生まれにくい。ローテーションの「リセット剤」として毎シーズン必ず組み込む
【コード1(ベンゾイミダゾール系:治療剤・耐性リスク高)】
トップジンM水和剤(チオファネートメチル)、ベンレート水和剤(ベノミル)
→ 浸透移行性・治療効果あり。耐性菌が出やすいため連続使用は2回まで。Mコード剤と交互に使う
【コード3(DMI/トリアゾール系:治療剤・耐性リスク中)】
トリフミン乳剤(トリフルミゾール)、ラリー水和剤(ミクロブタニル)、テブフロアブル(テブコナゾール)
→ 浸透移行性・治療効果あり。うどんこ病・黒星病に強い。耐性が出始めているため Mコードとのローテーション必須
【コード7(SDHI系:治療剤・耐性リスク中〜高)】
ボスカリド(カンタス等)、フルオピラム
→ 比較的新しい系統だが耐性の報告が増えている。コード1・3とは異なる作用点なのでローテーション相手になる
【コード11(ストロビルリン系:予防剤・耐性リスク高)】
アゾキシストロビン(アミスター等)、クレソキシムメチル(ストロビー等)
→ 予防効果と残効性に優れる。ただし耐性菌の報告が最も多い系統の一つ。年2回以内の使用が推奨
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■ 殺虫剤のコード別グループ整理
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【コード1A/1B(AChE阻害系:速効性・耐性リスク中)】
1A:カルバメート系(ランネート等)
1B:有機リン系(スミチオン、マラソン等)
→ 速効性に優れるが益虫・天敵にも影響大。花期の使用は避ける
【コード3A(ピレスロイド系:速効性・耐性リスク高)】
ロディー乳剤(フェンプロパトリン)等
→ 即効性ノックダウン。フェンプロパトリンはピレスロイド系では例外的にハダニにも殺ダニ活性を持つ。耐性が出やすい系統
【コード4A(ネオニコチノイド系:浸透移行性・耐性リスク中〜高)】
モスピラン(アセタミプリド)、ダントツ(クロチアニジン)、スターガード(ジノテフラン)
→ 吸汁性害虫(アブラムシ・カイガラムシ・コナジラミ)に有効。花粉媒介者(ミツバチ等)への影響が指摘されているため、花期の使用は厳禁
→ 粒剤での株元施用は葉面散布よりミツバチリスクが低い
【コード5(スピノシン系:耐性リスク低)】
スピノサド等
→ 微生物由来で環境負荷が低い。天然有機農産物でも使用可能。チョウ目幼虫に特に有効
【コード6(マクロライド系:浸透移行性・耐性リスク低〜中)】
アファーム乳剤(エマメクチン)、ミルベノック乳剤(ミルベメクチン)
→ ハダニ・アブラムシ・ケムシに幅広く有効。植物への浸達性が高い
【コード10A(殺ダニ特化:耐性リスク低)】
クロフェンツィン、ヘキシチアゾクス
→ 主に卵・幼虫ステージに有効。成虫への直接効果は弱いが残効性が非常に長い。ハダニ密度爆発の前に使うと効果的
【コード28(ジアミド系:浸透移行性・耐性リスク低〜中)】
クロラントラニリプロール等
→ 比較的新しい系統で耐性リスクは現時点では低い。チョウ目幼虫・カミキリムシ幼虫に特に有効
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■ 実践:このサイトでの使い方
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【ステップ1】防除したい病害虫の詳細ページを開く
→ 「対応薬剤」に登録されている薬剤の一覧が表示される
【ステップ2】各薬剤の詳細ページを開く
→ 「有効成分」欄のリンクをクリックして有効成分ページを確認
→ FRACコードまたはIRACコードをメモする
【ステップ3】コードが異なる薬剤を3種選ぶ
→ 異なるコード3種をローテーション順に並べる
→ 殺菌剤なら必ずMコード系を1つ以上含める
【ステップ4】季節・時期ごとに割り当てる
→ 月別防除カレンダー(「盆栽の月別防除カレンダー」コラム参照)と照合
→ 年間スプレープログラムとして手帳またはスマートフォンに記録する
【ステップ5】混用禁止の確認
→ 各薬剤の詳細ページの「混用NG」欄で組み合わせ禁忌を確認する
→ タンクミックスする場合はジャーテストを忘れずに
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■ 初心者のための最小ローテーション例
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【殺菌剤3剤ローテーション(最小構成)】
A剤:ダコニール1000(FRACコード M05)→ 予防のアンカー剤
B剤:トリフミン乳剤(FRACコード 3)→ うどんこ病・黒星病の治療
C剤:トップジンM水和剤(FRACコード 1)→ 炭疽病・灰色かび病の治療
順番:A → B → A → C → A → B → ... (Mコードを必ず間に挟む)
【殺虫剤3剤ローテーション(最小構成)】
A剤:モスピラン液剤(IRACコード 4A)→ 吸汁害虫の基本
B剤:アファーム乳剤(IRACコード 6)→ ケムシ・ハダニ
C剤:スミチオン乳剤(IRACコード 1B)→ 幅広い害虫への速効
順番:A → B → C → A → ... (同一コードを連続させない)
※ 各薬剤の詳細・混用適否は必ず薬剤詳細ページと農薬ラベルで確認してください。
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