「葉が変色した」「穴が開いている」「白い粉が付いている」──症状を正確に読むことが、適切な農薬選択の第一歩です。本コラムでは症状別の診断ポイントと、病気・害虫・生理障害の見分け方を解説します。
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■ 診断の基本:4つの観察ポイント
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症状を見つけたら、まず以下の4点を確認してください。
① 症状の発生部位:葉の表か裏か、新芽か古葉か、枝か幹か、根か
② 症状の広がり方:1カ所だけか、複数箇所か、全体的か、下から上か
③ 症状の見た目:色・形・質感(粉状か、水浸し状か、穴か、変形か)
④ 発生時期・速度:急に出たか、徐々に広がったか、雨の後か、高温後か
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■ 症状別 診断フローチャート
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【白い粉・白い膜が葉についている】
→ 葉表面に白い粉:うどんこ病(チェック:コナジラミではないか?ルーペで確認)
→ 葉裏に白い綿状の塊:コナカイガラムシ(動かしてみると小さい虫が動く)
→ 葉裏に白い小さな粒が点在:コナジラミの幼虫(払うと成虫が一斉に飛ぶ)
→ 白い粉が節やすき間に蓄積:コナカイガラムシの蝋物質
【葉に斑点や変色がある】
→ 黒い・濃茶色の輪郭のはっきりした斑点:黒星病、炭疽病
→ 黄色い斑点(葉表)+オレンジ色の粉(葉裏):さび病
→ 灰白色〜淡黄色のかすり状変色(葉全体):ハダニ(ルーペで確認、小さい赤〜黄色の虫と卵が見える)
→ 黄色い輪状の斑点(黄化リング):ウイルス病(農薬では治療不可、除去が必要)
→ 葉縁・葉先から褐変・枯れ込み:生理障害(過乾燥・根詰まり・過塩分)
→ 水浸し状の斑点 → 茶色く腐敗:灰色かび病、疫病
【葉に穴や食害の跡がある】
→ 葉に不規則な穴・切れ込み:バッタ、ゾウムシ成虫、ハムシ
→ 葉の一部が透かし状に食べられている:アオムシ・チョウ目幼虫の初期食害
→ 葉が巻かれている・綴られている:ハマキムシ(葉を広げると幼虫がいる)
→ 葉の内部にトンネル状の白い跡(絵を描いたような線):ハモグリバエ
→ 新芽の先が萎れて垂れている:アブラムシが集団吸汁 or ガの新梢食害
【茎・幹・根に問題がある】
→ 幹の表面に楯状・貝殻状の突起:カイガラムシ(成虫)
→ 幹の根際・根元に木屑・フラス(粉状のノコギリ屑):カミキリムシ・ボクトウガの幼虫が穿孔中
→ 根がコルク状・こぶ状に肥大:根頭がんしゅ病(細菌病)
→ 根が黒く腐敗:根腐れ病(フィトフトラ等)
【葉全体が黄化・落葉する】
→ 下葉・古葉から黄化・落葉:自然な老化 or 過水、根詰まり
→ 新芽から黄化:重篤な養分欠乏(鉄・マグネシウム) or ウイルス
→ 急激な落葉(数日で大量落葉):強い薬害、過乾燥、根腐れの進行
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■ 病気 vs 害虫 vs 生理障害の見分け方
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見分ける最大のポイントは「虫または菌がいるかどうか」です。
【病気のサイン】
・カビ・菌糸・胞子が見える(白い粉、灰色のカビ、オレンジ色の粉等)
・複数の葉・枝に同じ斑点パターンが広がる
・雨後や高湿条件の後に急激に広がる
・病斑の輪郭がはっきりしており、病斑内外の境界が明確
【害虫のサイン】
・虫そのものが見える(ルーペで確認)
・糞・蜜露(べたつく液体)・木屑(フラス)等の排泄物がある
・食害跡に特定のパターンがある(穴・巻き葉・スジ状の跡等)
・特定の新しい葉・成長点に集中している
【生理障害のサイン】
・虫も菌も見えない
・特定の葉(古葉or新葉のみ)だけに症状が集中する
・施肥・水やり・植え替えなど、最近の管理作業の後に症状が出た
・葉縁・葉先から均一に変色・枯れ込む(ミネラル焼け・過塩分)
・日当たり・水分の条件が急変した後に出た(直射日光移動後の日焼けなど)
→ 生理障害に農薬は効果がありません。管理方法の改善が先決です
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■ よく間違えられる症状ペア
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【うどんこ病 vs コナジラミ】
・うどんこ病:白い粉が葉の組織と一体化して拭き取りにくい
・コナジラミ:葉を揺らすと小さな白い虫が一斉に飛ぶ
【ハダニ vs 乾燥による葉焼け】
・ハダニ:ルーペで見ると小さな赤・黄・茶色の虫と卵が葉裏に密集。葉表のかすり状変色が均一に広がる
・葉焼け:葉の特定の面(強光が当たる側)だけが茶変。虫はいない
【黒星病 vs 炭疽病 vs 斑点性の生理障害】
・黒星病:黒い輪郭の不規則な斑点。葉柄・果実にも出る。梅雨時に多発
・炭疽病:茶色〜黒色の円形〜不整形の斑点。中央が灰白色になることが多い
・生理障害:斑点パターンが不規則で、葉脈に沿って出ることが多い。虫も菌もいない
【根腐れ vs 過乾燥による葉の萎れ】
・根腐れ:水をやっても萎れが戻らない。根を確認すると黒く腐敗している
・過乾燥:水をやると数時間で萎れが回復する。根は白く健全
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■ 診断ツールとしての虫眼鏡・ルーペの活用
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20〜40倍のルーペまたはスマートフォン用マクロレンズは、盆栽管理における最重要ツールの一つです。
・ハダニの卵・幼虫:裸眼では見えない0.1〜0.5mmの微小なものがルーペで確認できる
・カイガラムシの幼虫(クローラー):0.1〜0.3mmで動いている
・菌糸・胞子:白い粉状や灰色のカビの構造がルーペで見える
・アブラムシの有翅型と無翅型の区別:農薬の効果が出やすい・出にくいステージの判断に使える
週に1回、すべての鉢をルーペで点検する習慣をつけると、初期発見率が格段に上がり、農薬使用量を大幅に減らせます。
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